企業ネットショップの課題を少しだけ考えてみる。後編



何の旨味もないところに人も企業も集まらないものです。Web-STYLE(ウェブスタイル)

■どこかが負担を一身に背負わなければならない仕組みは長続きしないし、経済の発展のためにも良くないのです。

 前編ではオンラインショップの成功の大きさや成長の速さは、取り扱っている商品(サービス)がもとより持つ“独自性”や“魅力”、企業様の“ブランド力”に比例しているという話をしました。

 ちなみに前編はコチラ。※別画面で開きます。

 だからと言って“あぁ、成るほどそうか!”…なんて簡単に問題解決とはいかないのが現実でしょう。

 何と言ってもネットショップの難しさは、他の企業サイトの運営目的とは比較にならない程の“運転資金”がかかるという点が課題となって大きく企業様へ圧し掛かってくるものです。

 商品には類似品とも比較して“適正価格”なるものが存在します。

 面白いコトに、これは古物販売やオークショ出展商品にもあって、皆同じような価格で売買が成されており、余程の付加価値でもない限り突出した価格の商品は存在しません。

 いや、正確にはするかもしれませんが、見る機会は皆無です。

 また、インターネットが情報の拡散を促進させ簡単に“もっと安い商品の情報”を見つけやすくなったというのもサイト運営を難しくしている要因として大きいでしょうし、同時に“模倣した商品”が出てくるスピードも速くなったと言えるでしょう。

 ただ、この“適正価格”は単に消費者にとっての適正である場合が多く、各企業間では生き残るために過度な“価格競争”へと発展し、結局は業界自体が弱まっていくなんてコトが何度も繰り返されています。

 そう言えば、消費増税8%と10%が控えているせいか“便乗値上げ”というキーワードに関する話題がアチコチでニュースになっているようです。

 何でも“消費税は購入者の負担だから増税以上の価格上昇は便乗だ”という話なのですが、材料費や流通費、運転資金に人件費…これら全てが上昇する中で、なるべく消費者の皆様の負担にならない様にどこも企業努力されているのに…やはり“値上げ”に対して完全に理解していただくというのは難しいのかも知れません。

場面転換や話の転換用のイラスト(笑)。

 少し前の話になりますが、ポータルサイトに参加するのであれば“粗利3割以上”を設定するというのがポイントになっていて、これ以下だと売れば売るほど“赤字がかさむ”と言われていました。

 この数値は絶対にそうだという話では無く、クレジットカードやコンビニによる決算、送料の負担などのサービスをはじめ、ショッピングモールへの参入には様々な運営費用が必要となるため、最初にこれらを忘れて安価な価格設定を行ってしまい、そうそうに撤退などというコトにならないための教訓の様なものです。

 もちろん、最初は赤字覚悟で“顧客を囲い込んでから徐々に商品を入れ替えていく”企業様もいらっしゃいます。

 しかし、この“粗利3割”という価格設定にも落とし穴があると言わざるを得ません。

 もう皆さんはお分かりだと思いますが、この“適正価格”のエンドユーザーへの傾きというものが、企業利益の薄利化を招きWEBサイト本来の運営方法である“先行投資”を妨げているという訳です。

 誰だって運営だけで手一杯な状況で、投資し続けるはずがありません。

 ネットショップだけで売り上げを出し拡大していくのであれば3割の粗利では人件費も賄えず、ネット広告等の活用で利益が出ている状況を維持するので手一杯となり、いずれはゆっくりと衰退していくしかありません。

 そもそもネットショップの出店料が高くなっていけば、その負担は更に利用する企業様ばかりに向いてきます。

 やはり、WEBサイトの成長のために投資していくためには“粗利が5~7割以上は欲しい”というのが、企業様にとって切実な願いなのでしょう。

 よく話されている事例の中に、食品を製造する上で廃棄していたものを試しに販売したところ、健康ブームで爆発的にヒットしたというものもあります。

 全盛期には9割もの粗利がでる主力商品となり企業成長に大きく貢献したという話なのですが、まぁ、こういった例は稀であり、やはり適正価格という情報拡散に対する“価格設定”の問題は簡単には解決できそうにないようです。

 ただし、オンラインショップを運営される全ての企業様にとって投資費用の捻出は課題でしょう。

 最近ではネットショップの“詐欺被害”の増加による影響もあってか、一般企業の運営によるオンラインショップを活用する人口が減少しつつあるとも聞きます。

 詐欺目的のネットショップで被害にあわれた方の情報交換サイト等もあるようで、海外からの成り済ましサイトで商品が届かない、実際の商品がWEBに掲載されているものと違う、顧客対応が悪い等の発信される意見に、すべてが事実なのか確認は出来ませんが、真面目に商売をされている企業様にとっては迷惑な話です。

 しかし、通販利用者の大手モールサイト選択という偏りが益々大きなものとなっても不思議ではありません。

 オンラインショップは自社運営とショッピングモール参加の両方を行っていればサイト毎のターゲット層の差別化が可能な訳で、ポータルサイトへの参加が前提という選択肢しか無くなれば、サービスを提供している企業様の旨味は半減します。

 いくら頑張っても次々に費用のかさむシステムの導入に追われ粗利は減少し続けるばかり、これでは企業様がWEBビジネスに対して最後には魅力を感じられなくなってしまうのではないでしょうか。

 まぁ、WEB業界は発展途上であり今まで述べてきた全ては“テナント出店料や小売業者仲介”と同じで利益が分散するように今後は発展していくとも考えられなくもないのですが…。

 どちらにしてもビジネスの仕組みは常に変化していくものでしょうから、近いうちにネットショッピングの運営ポイントとしてまとめて記事にしたいと思います・・・というコトで、今回はこんな感じでどうでしょう?

 いやはや。。