ブラウザのバージョンを考えるコトも有効活用になるのです。後編



 ホームページの見え方が違う原因は、OSとブラウザ?Web-STYLE(ウェブスタイル)

 さてさて、お話は前回の続きになります。

 ホームページ及びプログラム制作に携わるに全ての会社において、最も困るであろうお客様のご要望はこれではないでしょうか。

 「IE6」で動くようにして欲しい。

 一見するとたいした問題のように思えないかもしれませんが、これが実に日本企業のネット社会に深く影響をあたえています。

 その重要さについては、おいおいご説明していくコトにしますが、この要望がでてくるというコトは、未だにその企業様において社内のシステムの都合上「IE6」ブラウザを利用されているというコトでしょう。

 ちなみに、現在のインターネットエクスプローラーのバージョンは「9」ですね。(以下、“IE9”)※2012年6月現在  ※「IE6問題」については、YAHOO!やGoogleで検索するといろいろ出てきますので、そちらもご覧下さい。

 Microsoftでもこの「IE6問題」には頭を悩ませており、IE6を無くしていくコトを推奨・実践しています。半ば強制になりますが、WindowsUpdateをする際に、古いバージョンのIEならIE9に自動バージョンアップをしてしまうようなサービスを世界に向け、随時進めていくようです。

 では、具体的な問題についてです。
 
 実は、IE6のブラウザだとホームページに使われている最新のプログラムに対応できず、デザインが崩れてしまい見にくい状態になるコトがあります。
 
 これとは反対に、企業様ではご使用のプログラム(商品管理システムなど)の中に、OSやブラウザのバージョンを上げてしまうと正常に動かなくなってしまうプログラムがあるのです。現在利用している古いブラウザ(IE6)、古いOS(Windows95、98、2000等)のままであれば、問題なく動作しているのにです。
 
 ここに企業としてのジレンマがあります。
 
 このシステムを最新のIEで動作するようにカスタマイズするには、数百万~数千万円規模の費用が発生するコトもあり、システムそのものに問題が無いのであれば、改善だけにその費用をかけるかどうか、企業様にとっては大問題です。確かに、これでは簡単にOSやブラウザのバージョンアップをする訳にはいきません。
 
 まぁ、解決策のひとつとしては、社内システム用のパソコンはオフラインで利用するコトにして、インターネットする社外用のパソコンとを分けるコトが一番だと思いますが、それもまた社内データの共有という面から考えれば“解決した”と言い切れる方法ではありません。
 
 マイクロソフトが、2011年11月に調べたところ、日本でもまだ“6.5% ”の方がIE6を使用しているコトが分かりました。ただし、このデータは個人、企業のどちらとまでは公表されてはいません。
 
 原因として考えられる点ですが、個人の場合、パソコンを買ったままの設定でずっと使用している。企業の場合は、上記で述べた通り、制作した社内のシステムプログラムを使い続けるため、おいそれとパソコンを変えられないというところでしょう。
 
 しかしながら、IE6のブラウザ仕様の割合は間違いなく“企業様”の方が多いはずです。
 
 
  IE6の何が問題なんだろう?
 
 簡単に言えば、どうしてもIE6で動作するホームページやプログラムの制作をするのであれば、動きを良くするためにプログラムをすっきりさせるよりも互換性を優先して考えなければならず、その結果、生産性が悪くなり時間と費用がかかるというコトです。※わざわざダウングレードして制作するというコトになりますし、さらに言えばそれでも完全互換は不可能と思って下さい。
 
 また、ブラウザやOSのサポートは随時終了していくものですから、古いOSやブラウザをそのまま使っているとウイルス感染についてのリスクもかなり高くなってきます。将来的に、市販されているパソコンが64bitばかりになれば、ウイルスソフトをはじめ、ビジネスに必須になっているとも言える「Excel」や「Word」等、対応したソフトも無くなっていき、どうしようもなくなって多額の費用をかけてシステムの入れ替えをするコトになってしまい、最悪の場合、仕事がストップするでしょう。
 
 今でもホームページを正しく表示できないコトがある「IE6」ですが、将来的にはもっと問題は大きくなっていきます。“HTML5”によりホームページ制作をした場合、ウェブ標準規格をIE9以降で推奨採用というコトになっており、どんどん正しく表示されないホームページは増えていきます。
 
 弊社でもWindowsは動作確認のため、パソコンのOSも「xp」、「Vista」、「7」とありますが、2012年の4月にサポートを終えた「Vista」でさえ、プログラム(jQuery)によっては、ホームページを正しく表示できていません。
 
 これは・・・
 
 ホームページが壊れているのではなく、お使いのパソコンが表示できていない
 
 という状況で、前回も述べましたがホームページは全て同じように見られている訳ではないのです。
 
 
 ちなみに念のためですが、WindowsUpdateにより「IE」のバージョンアップを“6”から“9”に変更しても次の設定内容は、引き継がれるそうです。ただ単に、ブラウザの設定が買ったままだったという方は、早急のアップデートをお勧めします。
 
 ・ホームページ設定
 
 ・検索プロバイダの設定
 
 ・デフォルトのウェブブラウザ設定
 
 さて、そろそろ今日の結論です。
 
 結局のところ企業において経営判断をされるのは社長様です。システムの導入についてもその費用対効果という面からも時期を考えられるのは大変良いコトだと思います。ここでの結論というのは、前回述べたとおり、ホームページの有効活用という点から考えた結論です。
 
 では、最後に次のデータをご覧下さい。
 
 昨日のデータの参考にしたホームページのアクセスデータの中から、IE利用者だけを取り出してバージョン情報の分布を調べたデータです。※ちなみに、基にするデータにより多少の誤差はあると思いますので、ご了承下さい。
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 ・IE8 37~40%
 ・IE9 37~40%
 ・IE7 15~18%
 ・IE6 4~7%
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 ※今回調べたデータでは、わずかに「IE8」の利用者の方が多かったですね。(1%未満の差でしたが。)
 
 この数値を見てどう思われましたか?
 
 わずか5%前後のIE6ブラウザにおけるホームページの表示にこだわり、残り95%の方に不具合を与えたりユーザビリティを抑えたりしなければならないという判断をすべきかどうかお考え下さい。
 
 おそらく企業において、ホームページはエンドユーザーに向けての企業アピールや繋がりを持つ場です。ビジネスには“BtoB”、“BtoC”・・・と、「企業に向けた発信」、「個人に向けた発信」があります。
 
 せめて企業ホームページのターゲットが個人様であるのならば、社内でどう見えるかで頑なになるよりも一般の方が見ているブラウザの分布データに基づいてIE9を優先したホームページ制作を行った方が良いというコトをご提案します。
 
 このIE6問題については、他にもいろいろと述べられておりますが、それはまた別の機会にでもというコトで、ひとつ。まぁ、今回はこんな感じでどうでしょう?
 
 いやはや。。